自然と生業Nature, Agriculture & Forestry
北には、東北アルプスとも呼ばれる飯豊連峰。中央には、会津の大河を集め日本海へと雄大に流れる阿賀川。トレッキングにも魅力的な山々と水資源の豊富さは、古代より人々に恩恵を与え、多様な生態系を育んできました。水墨画のような雪景色、新緑の山々の淡い萌芽、おとめゆりやギフチョウ、カモシカなどの珍しい動植物、秋の雲海や霞など、繊細な自然の変化が魅力です。また、深い森が生み出す澄んだ空気と美味しい水が育くんだ作物は格別。日本一にも輝いた肉厚の椎茸はまさに“森のあわび”、甘くもちもちとしたお米は国際食味コンテストでグランプリを受賞。土壌の微生物を活性化させて育てられたミネラル野菜は、しっかりとした風味が特徴です。
伝統とアートTradition & Art
阿賀川により日本海と通じる地形は、古来より交通の要衝としてこの地に繁栄をもたらし、時代毎に多様な文化を育みました。縄文時代の複雑な造形の火焔土器や、修験道や山の神の聖地・信仰の地、中世の数多くの山城(舘)跡、会津と新潟を繋ぐ越後街道の宿場町の面影や、明治の松下村塾と言われた「研幾堂」など、探れば探るほど深い文化が根づいています。そして今、西会津国際芸術村を中心にクリエイティブな人材を集め、地域が失いつつある歴史・風土・民俗・文化・伝統技術をデザインやアートの持つ創造の力と融合し、再生していく取組みがはじまっています。
新・旧 郷土食New & Traditional Local Food
会津の代表的な郷土食である“こづゆ”や、会津の中でも西会津近辺までしか食される習慣のない“いごねり”。身欠きニシンの山椒煮や、イカ人参など、 越後街道により運ばれた海の食材は、山の食材と出会い、豊かな保存食文化を育みました。また、秋には一面に白い花が咲き誇る蕎麦畑から採れる十割そばは絶品。いくつもの集落で毎年“そばまつり”が開催されるほどのこだわりがあります。近年では、これらの郷土食を見つめ直す取組みや、新しい料理の開発が盛んに行われています。西会津の新鮮な素材を生かした古くて新しい食文化が、今、少しずつ芽吹き始めています。